「このままでいいのかな」。キャリアや働き方に迷ったとき、そう感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
結婚や転勤、妊娠・出産など、ライフイベントを前にすると、これまで当たり前だと思っていた働き方が、急に続けられないものに思えてしまうこともあります。
今回お話を聞いたのは、創業140年を迎える老舗化粧品メーカー・桃谷順天館で働く広報担当のNさん。
老舗企業ならではの安心感と、時代や個人に寄り添う柔軟さが共存する環境の中で、形を変えながらキャリアを続けてきたリアルな声を伺いました。
実際にどんな選択肢があったのか。今すぐ答えを出せなくてもいい—そんなふうに思えるヒントを、この記事から受け取ってもらえたら嬉しいです。
株式会社桃谷順天館|プロフィール
会社概要
- 会社名:株式会社桃谷順天館
- 代表者名:桃谷 誠一郎
- 所在地:大阪府大阪市中央区上町1-4-1
- 設立:1885年
- 従業員数:419名
- 事業内容:化粧品・医薬部外品の企画、製造、販売
会社紹介
創業140年の歴史を持つ化粧品メーカー 株式会社桃谷順天館 は、1885年(明治18年)、にきびに悩む妻のために創製された「にきびとり美顔水」を原点に誕生しました。
自社の研究所・工場を持ち、化粧品・医薬部外品の商品企画から製造、販売までを自社一貫体制で行う、日本有数の老舗化粧品メーカーです。
創業のきっかけでもある「明色美顔水 薬用化粧水」は、140年にわたり愛され続けてきた超ロングセラー商品。日本初の西洋医学処方を取り入れた化粧水として知られ、2019年度には日本化学会より「化学遺産」に認定されました。
美と健康を追求し続けてきた姿勢は、創業から現在に至るまで、変わらず受け継がれています。
また、老舗企業としての安心感と同時に、時代や個人の変化に柔軟に対応する姿勢も桃谷順天館の大きな特徴です。
女性の育休取得率は100%、男性も75%と高水準で、生理やPMSに利用できる「エフ休暇」、不妊治療等にも対応する「ライフサポート休暇」、テレワーク制度など、性別を問わず誰もが自分らしく働き続けられる環境づくりが進められています。
社員一人ひとりの声に耳を傾け、相談しやすい社風を大切にしている点も、同社の魅力のひとつです。
個人プロフィール
- 株式会社桃谷順天館 広報担当
- ジュニアマネージャーとして、広報業務全般とチーム全体のサポートを兼任
- 新卒で大学職員として入職し、医学部・大学病院の広報を約7年間経験
- 記者会見や研究発表対応を通じて、広報の仕事にやりがいを見出す
- 「広報の仕事が好き」という気づきをきっかけに、化粧品業界へ転職
- 現在はフルリモートを活用しながら、ライフイベントと仕事を両立
- 老舗企業としての安心感と、変化に柔軟な社風の両立に魅力を感じている
- 自社製品への愛着と同時に、社員一人ひとりの人生を尊重する会社の姿勢に共感
- ライフイベントを前にキャリアを諦めそうになっている女性に、
「まずは会社を信じて相談してみてほしい」と伝えたいと考えている
現在のお仕事や役割について
Nさん広報として情報発信を担いながら、チーム全体を支える役割をしています。自分の業務だけでなく、周囲が動きやすい環境を整えることも大切にしています。
現在は化粧品メーカーで広報を担当しています。プレスリリースの作成やメディア対応など、自身の業務を進めながら、チーム全体の進行状況を見て、業務の調整やサポートにも関わっています。
社内ではジュニアマネージャーという立場ですが、指示を出すというよりも、現場に近いところで一緒に動く役割です。それぞれの得意分野を尊重しながら、無理なく力を発揮できる環境づくりを意識しています。
広報としてのアウトプットの質だけでなく、チームの空気感や信頼関係も大切にしています。
個人で成果を出すよりも、チーム全体で良い発信ができる状態を目指しています。そのため、日々の小さなコミュニケーションや声かけも欠かせません。
今のキャリアに至るまでの経緯



大学での広報経験を通じて、「広報の仕事が好き」だと気づきました。その気づきが、化粧品業界への転職を決めるきっかけになりました。
新卒で大学職員として入職し、医学部や大学病院の広報を約7年間担当していました。記者会見や研究発表、メディア対応を経験する中で、情報を社会に届ける仕事にやりがいを感じるようになりました。
その後、学内異動で医療事務寄りの部署に移ったことで、改めて広報の仕事が自分に合っていたと実感します。
以前から関心のあった化粧品業界で、これまでの経験を活かして挑戦したいという思いが強くなりました。
環境が変わることへの不安よりも、挑戦しないまま後悔するほうが大きいと感じ、転職を決意しました。
20代の頃に感じていた仕事や将来への迷い



やりたいことが分からず、安定を選んでいる自分に不安がありました。周囲と比べて焦りを感じることも多かったです。
当時は「これがやりたい」と言えるものがなく、安定や収入を重視して進路を選んでいました。周囲に明確な目標を持っている人がいると、自分だけが立ち止まっているように感じることもありました。
このままでいいのかな、と答えの出ない不安を抱えながら働いていたと思います。今振り返ると、その迷っていた時間も自分の価値観をつくるために必要なプロセスだったと感じています。
「このままでいいのかな」と思った瞬間



結婚や転勤を前に、働き方を見直す必要を感じました。仕事と人生のバランスについて、深く考えるきっかけになりました。
結婚後、パートナーの転勤の話が出たことが大きな転機でした。私が所属するチームは全員が大阪本社で勤務しているため、このまま大阪で仕事を続けるか、ついていくかという選択に直面しました。
これまで積み上げてきたキャリアを手放す不安と、人生全体の幸せを考えたい気持ちが交錯していました。
簡単に答えが出ない中で、「このままでいいのか」を何度も自分に問いかけていました。仕事を優先してきたこれまでの選択を、初めて立ち止まって見直した時間でもありました。
将来を見据えたときに、今の働き方が本当に自分に合っているのかを考えるようになりました。
迷いの中で選んだ決断



辞める前提で相談したことで、新しい道が見えました。一人で抱え込まずに話したことが、大きな転機になりました。
当初は退職も考えていましたが、正直な気持ちを上司に相談しました。すると、雇用形態を変更し、リモートで働くという提案をいただきました。
「辞めるしかない」と思い込んでいた視野が広がり、続けるという選択肢が現実になりました。これまで積み重ねてきた仕事を評価してもらえていたことにも、そのとき初めて気づきました。
一度立ち止まって相談したからこそ、今の働き方につながったのだと思います。
ライフイベントと働き方の関係



自分ではコントロールできないことがあると実感しました。だからこそ、無理をしない働き方を選ぶようになりました。
女性特有のライフイベントを通じて、努力だけではどうにもならない場面があると感じました。立ち止まることは、決して後ろ向きな選択ではないと思えるようになりました。
完璧に両立しようとするよりも、その時々の自分を大切にすることを意識するようになりました。結果的に、その考え方が仕事にも良い影響を与えていると感じています。
働き方に対する価値観の変化



安定よりも、自分が納得できるかを大切にしています。働き方を選べることが、心の余裕につながっています。
以前は正社員で働き続けることが当たり前だと思っていました。今は、場所や形に縛られず、納得できる形で続けることを大切にしています。
自分で選んでいるという感覚が、仕事への向き合い方を変えました。無理をし続ける働き方だけが正解ではないと、ようやく思えるようになりました。その気づきが、仕事を長く続けていくための支えになっています。
20代女性へのメッセージ



今すぐ答えを出さなくても大丈夫です。目の前のことに誠実に向き合っていれば、十分だと思います。
迷っている時間も、決して無駄ではありません。今は点に見える経験も、後から振り返ると線でつながります。周囲と比べすぎず、自分のペースで進んでいいのだと思います。
立ち止まったり、遠回りしたりすることも、きっと意味があります。その時間があるからこそ、自分に合った選択ができるようになるはずです。
まとめ
キャリアは、一直線に進むものではありません。立ち止まったり、形を変えたりしながら進んでいくものだと思います。
仕事を続けることも、ペースを落とすことも、環境を変えることも、どれが正解・不正解という話ではありません。そのときの自分にとって、無理のない選択かどうかを大切にしていいのだと思います。
ライフイベントや環境の変化によって、これまで積み上げてきたものが途切れてしまうように感じる瞬間もあるかもしれません。
でもそれは、キャリアを失っているのではなく、人生に合わせて形を調整しているだけなのだと感じます。
「こうあるべき」に縛られすぎず、自分が何に安心して、何に疲れてしまうのか。その小さな感覚を、大切にしてほしいです。
迷ったときは、一人で抱え込まず、信頼できる人や環境に相談してみることも選択肢のひとつです。自分のペースで、立ち止まりながらでも大丈夫。
キャリアは、人生と一緒に育てていくものなのだと思います。






